歯周病はかかっている人が多いことでギネスブックにも載っています。
30歳を過ぎると歯周病のリスクが上がり、高齢になると歯周病になっていない人の方が少なくなります。
「今は痛みがないから歯医者に行かなくていいかな。」
「痛みが出てから治療してもいいでしょ。」
このように考えている方が多いですが、歯周病の場合は違います。
歯周病は治りません。
もちろん軽度の場合や状況によっては良くなる場合がありますが、重度の場合は完全に元に戻ることはありません。
ケガをして元通り治るとはわけが違うのです。
今日は歯周病の怖さについて解説します。
歯周病の進行
歯は歯槽骨という骨に埋まっています。
歯に汚れがついていることで歯を支えている骨が溶けてしまうと歯周病になります。
上図の②の時ぐらいだと疲れているときに歯が浮いている感じがしたり、歯磨きの時に痛い、食事の時に噛むと痛いなどの一時的な症状な場合が多いです。
③まで歯周病が進行すると歯が揺れて食事ができないといった症状になります。
歯周病の詳しい進行についてのメカニズムはこの記事を参考にしてください。
歯周病によって溶けてしまった骨は戻らない
歯周病は細菌が原因で歯を支えている骨が溶けてしまいます。
この溶けた骨は完全に元に戻ることはほぼありません。
垂直性骨吸収の骨欠損で再生療法を行うとかなり良い状態に治ることがありますが、歯周病を長期間放置してしまうと水平性骨吸収といって、全体的に骨がなくなってしまいます。
今の技術では水平性の骨吸収を完全に治すことはできません。
歯周病の治療はなくなった骨をこれ以上進行させないように維持することです。
歯周病の治療についてはこの記事を参考にしてください。
進行する前に歯周病の予防を!
歯周病は自覚症状が出たときには重度歯周病になっている可能性が高いです。
歯周病は治療も大切ですが予防することがとても重要です。
特に何も症状がなくても3ヶ月に1度は歯科検診に行きましょう。
症状がなくてもですよ!
レントゲンや歯周病の検査で現在の状態が把握できますし、歯科医師、衛生士によってどのように予防をすればよいかアドバイスを聞くこともできます。
お口の中の状態や歯周病のリスクは人によって違いますのでその人に合った治療計画が必要です。
歯周病予防のためには歯科医院で歯石をとってもらい、お口の中の歯周病菌の数を少なくしなければなりません。
検診の大切さについてはこちらの記事を参考にしてください。
歯周病を予防して健康になろう!
高齢化社会において健康はとても重要です。
歯が健康でないと体全体が不健康になります。
健康を維持するにはきちんと食事をとる必要があります。
歯周病で歯がなくなると今まで通り食事ができなくなります。
食べられていたものも食べられなくなります。
柔らかいものばかり食べて栄養が偏り、体が衰えていきます。
体が衰えると食欲がなくなり、さらに食べなくなり衰えていくという負のスパイラルに陥ってしまうのです。
フレイルという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
フレイルとはヒトの老化の過程における「健常」と「要介護状態」の中間であり、健康障害につながる心身の脆弱な状態であると同時に、ストレスに対する予備力の低下に起因した状態であるといわれています。
健康でいるためにはフレイルの段階で治療を行い、要介護状態を予防することが必要になります。
お口の老化、オーラルフレイルは全身のフレイルの入り口です。
歯周病で歯が抜けた、食事がしにくくなった、話づらくなったなどの症状がある方はオーラルフレイルの可能性があります。
健康寿命を延ばすためには歯周病を予防してお口の健康を維持しなければなりません。
オーラルフレイルについてはこちらの記事を参考にしてください。
まとめ
歯周病と全身的な疾患の関係は日々研究されています。
低体重児早産、心筋梗塞、脳梗塞、肺炎、アルツハイマー、糖尿病など。
今や歯周病は様々な全身の疾患に関係があるといわれています。
健康寿命を延ばしてQOLの高い生活を送るためにも歯周病の予防をしっかりと行いましょう。
今日はこれでおしまいです。
おつかれさまでした。
参考文献
ペリオドントロジー&ペリオドンティクス 月星光博
オーラルフレイルの診かた 菊谷武
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