保険適応!歯周組織再生療法

歯周病

再生療法という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

歯周病で溶けてしまった骨を再生する治療法です。

以前は自由診療のみで保険適応ではなかったのですが今は保険適応されています。

注意しないといけないのは再生療法といってもなくなった歯が生えてきたりするものではなく、骨の溶け具合によっては治療することはできない点です。

なんでも再生できるわけではありません。

しかし、適応となる症例ではよい結果が出ています。

今日は歯周組織再生療法について説明していきます。

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歯周病について

まずは歯周病について簡単に説明します。

歯は顎の骨の中に埋まっています。

直接くっついているわけではなくて歯根膜というクッション材を介して骨とくっついています。

上記の図のセメント質、歯根膜、歯槽骨、歯肉を歯周組織というのですが、これらの歯周組織がばい菌によって破壊されてしまう病気を歯周病といいます。

詳しくは以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

歯周病治療の流れ

歯周病の治療には順番があります。

再生療法がやりたいといっても初めての来院でその日にできるわけではありません。

上記の図が歯周病治療の流れになりますが、歯周組織再生療法は④である歯周外科治療になります。

そのため、まずは①から⑤までを行い、再生療法が適応となるのかしっかりと検査して、適応となる場合でも再生療法ができる状態にまで初期治療を行う必要があります。

どのような治療を行うかは以下の記事で解説しているので参考にしてください。

歯周組織再生材リグロス

初期治療が終わって、いよいよ再生療法を行うとなりました。

保険適応された歯周組織再生材をリグロスといいます。

成分はトラフェルミン(ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子;bFGF)と呼ばれる成長因子の一つです。

「bFGF」は骨や筋肉などの細胞の増殖や分化を促して、成長させることができます。

この作用によって破壊された歯周組織を再生します。

歯周組織が再生する仕組み

術式はまた後で説明しますが、やり方は歯肉を開いて汚れをとり、溶けてしまった骨にリグロスを塗って歯肉を元に戻します。

リグロスは歯周病によって破壊されたもともと骨があった部分に存在している歯根膜由来細胞や未分化間葉細胞を増やす働きがあります。

そして、新しい血管をつくります。

このような作用で増えた細胞はセメント芽細胞や骨芽細胞に変化します。

時間の経過とともに新しい歯槽骨、セメント質、歯根膜ができ、結合組織性付着が再構築されて歯周組織が再生します。

術式

やり方はまず歯にこびりついてしまった歯石を除去しなくてはなりません。

縁下歯石は歯肉に覆われていて見ることができないので見えるようにまずは歯肉を開きます。

歯石が見えるようになったら専用の器具できれいに除去します。

きれいになったらリグロスを入れて歯肉を戻して縫合して終わりです。

傷が治るまで歯ブラシを強く当てないように注意して汚れはうがいなどで対応しましょう。

これを聞くと

歯茎を開くって怖い!

と思う方もいると思います。

しかし、歯石をそのままにしておくと歯周病は進行を続けていつか歯が抜けてしまいます。

歯石をとって再生療法を行うことで歯を支える歯周組織が安定して歯の寿命を延ばすことができます。

また、この歯茎を開く術式は歯周病の治療の中でもよく使われるそれほど難しくない治療法です。

担当の歯科医師に不安に思うことはしっかりと話を聞いて安心して治療しましょう。

デメリット

再生療法は歯周病によって破壊された歯周組織を再生するメリットのある治療法ですが、デメリットもあります。

  • 術後に腫れや痛みが出ることがある
  • 歯茎が下がることがある
  • 知覚過敏が起きることがある

再生療法は外科治療です。

術後には腫れたり、痛みを伴うことがあります。

しかし、抗生物質を服用して1~2週間もすれば落ち着いてくることがほとんどです。

術後に歯茎が下がる場合があります。

歯茎が下がるのは手術による場合と歯周病が治ってきて歯茎が引き締まることによる場合、またはその両方の可能性があります。

歯茎が下がると歯の根っこが見えてしみるといった知覚過敏の症状が出ることがあります。

知覚過敏の症状が出た場合はシミ止め薬を塗って対応します。

適応症

歯周組織再生療法はすべての歯周病に適応するわけではありません。

専門用語でいうと垂直性の骨吸収は適応で水平性の骨吸収は非適応になります。

上図のように歯に沿って垂直的に骨がなくなると垂直性、水平的に骨がなくなると水平性の骨吸収といいます。

再生療法は垂直性の骨吸収しかできません。

これは歯科医院でレントゲンなどで確認します。

また、歯磨きがあまりできていない人にも適応しません。

まずは歯磨き指導で歯がしっかりと磨けれるようにします。

再生療法ができない人
  • 水平性の骨吸収
  • プラークコントロールが悪い人
  • お口に悪性腫瘍がある、又は以前にあったことのある人
  • リグロスの成分に過敏症のある人

まとめ

歯周組織再生療法は以前は自由診療しかできませんでしたが、保険適応となったことで患者さんの負担を軽減できるようになりました。

しかし、先ほども説明しましたが何でも治せる魔法の薬ではありません。

適応症が限られています。

無理やり使用してもいい結果はでないので自分ができるかどうかは担当医に聞いてみましょう。

治療をする術者の技量も成功に関係しますが患者さんの協力も必要です。

タバコを吸わない、口腔ケアをしっかりと行う、歯ぎしりに気をつけるなどです。

正しく使用すればとても良い薬剤ですので歯周病が進行してきている人は歯科医院で相談してみましょう。

今日はこれでおしまいです。

おつかれさまでした!

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