妊娠と歯周病

歯周病

歯周病が原因で糖尿病やアルツハイマーなど全身的な疾患に悪影響があることがわかってきています。

疾患ではないですが、妊娠も歯周病が悪影響を与える1つです。

妊娠中の人が歯周病だと早産や低体重児出産のリスクが高くなるのです。

今日は妊娠と歯周病の関係について解説していきます。

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歯周病から妊娠への影響

妊娠中の人が歯周病だと

  • 早産
  • 低体重児出産

のリスクが7.5倍も高いといわれています。

アメリカの研究で妊婦約800人を対象に妊娠中に歯周病と診断された人、妊娠中から出産までに歯周病が進行した人と早産の関係を調べた結果、早産であった妊婦さんは重度歯周炎である割合が高く、出産時の妊娠周期が早い人ほど重度歯周炎である妊婦さんが多かったという研究データがあります。

また、早産であったお母さんは妊娠中に歯周炎が進行していたそうです。

  • 早産:在胎37週未満で生まれた赤ちゃん
  • 低出生体重児:2500g未満で生まれた赤ちゃん

他に早産や低体重児出産のリスクとなるものには、年齢(35歳以上もしくは17歳未満)、アフリカ系米国人、社会経済的身分の低さ、不十分な出生前ケア、薬物乱用、アルコール、タバコ、高血圧、尿生殖路感染、糖尿病、多胎妊娠などがあります。

歯周病からの早産、低体重児出産のメカニズム

出産のメカニズムについては詳しくはわかっておらず、完全に解明されたわけではありません。

妊娠後期にホルモンバランスが変化すると、妊娠維持機構が後退することにより、子宮内のプロスタグランジンという物質が増加します。

すると、子宮収縮や頸管成熟が起きて出産に至るといわれています。

さらに、プロスタグランジンはサイトカインという物質をつくることで好中球の遊走、タンパク質分解酵素を産生して、より分娩の方向に進みます。

早産は何かしらの原因により、この分娩の流れが早まることで起きます。

歯周病になると歯茎に炎症が起きて、歯周ポケットにIL-1、IL-6、TNF-αなどのサイトカインやプロスタグランジンといった炎症性物質が多くなります。

そして、それらの炎症性物質は血清中にも多くなります。

歯周病のときにみられる炎症性物質は出産のときに関わるものと似ています。

歯周病によって増加した炎症性物質が子宮収縮を起こして早産、低体重児出産になると考えられているのです。

歯周病のメカニズムについてはこちらを参考にしてください。

妊娠というのは当たり前ですがとてもすごいことです。

一人の女の人の体に別の生命体が宿っているのです。

人はばい菌などが体に入ると免疫によって排除しようとします。

なぜ赤ちゃんは排除されないのでしょう?

それは、女性ホルモンであるプロゲステロンやプロスタグランジンという物質によってお母さんの免疫を調整して赤ちゃんを排除しないようにしているからです。

妊婦さんってとてもすごいことをしているのね。

しかし、歯周病によって炎症が起きるとそのとき発生したIL-1やTNF-αといったサイトカインが血液から子宮に運ばれて免疫が変化してしまい、赤ちゃんを異物と認識してしまう可能性があります。

さらに、進行した歯周炎では細菌やLPSという毒素が直接血管に入り、胎盤に運ばれ胎児にも達します。

その細菌を取り除こうと免疫細胞であるマクロファージが活性化してTNF-αなどのサイトカインを放出します。

こうして炎症が起きることで早産になりやすくなります。

妊娠から歯周病への影響

歯周病から妊娠への影響について説明しました。

上記の図のように妊娠から歯周病にも影響があります。

妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの血清濃度が上昇します。

この女性ホルモンを栄養に増殖する歯周病原因菌(Prevotella intermedia)がいるのです。

また、プロゲステロンが血管を拡張して浮腫が生じることにより、歯茎のばい菌の抵抗性が低下して歯茎が腫れたり、出血しやすくなります。

妊娠中に歯茎が腫れることを妊娠性歯肉炎といって妊婦さんの36~100%がかかるといわれています。

しっかりとしたブラッシングによるプラークコントロールや妊娠が終われば改善します。

妊娠中の歯科治療についてはこちらの記事を参考にしてください。

まとめ

妊娠、出産は女性の人生の中の一大イベントです。

できれば何事もなく出産して元気な赤ちゃんが生まれてくることを望んでいると思います。

早産、低体重児出産には様々なリスクがあります。

(心肺機能や体温調節、免疫機能が未熟、哺乳に必要な機能の未発達、母乳の飲み具合が悪い、体温調節がうまくいかないなど)

歯周病が早産、低体重児出産のリスクになるという研究報告はたくさんあります。

しかし、歯周病を予防することで直接的に早産のリスクを減らすことができるということについては意見が分かれています。

それでも歯周病の治療、口腔ケアはしっかりと行っておくことをおすすめします。

お母さんのお口のばい菌が赤ちゃんに感染していきますし、歯が痛いと栄養をとりたい妊娠期にしっかりとした食事もとれなくなってしまいます。

妊娠だけでなく将来の歯の寿命を考えても口腔ケアをして悪いことは何一つありません。

歯周病の治療をすることで早産のリスクを少しでも減らすことができる可能性があるならそれをやった方がよいと思います。

すべての赤ちゃんとお母さんが健康で無事出産できることを祈っています。

今日はこれでおしまいです。

おつかれさまでした!

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