知らないと危険!?オーラルフレイル

健口

日本は超高齢化が進んでいます。

高齢になると以前と比べて体に何かしらの変化があると思います。

その中で

以前と比べて食事がしづらく、時間がかかるようになった、

飲み込みにくくむせるときが多い、

何本か歯を抜いている

ということはありませんか?

おばあちゃんが入れ歯でそういうことがあるかも。

このような症状がある場合オーラルフレイルの可能性があります。これを放置しておくとお口だけでなく体全体が弱っていってしまうことがあります。今日はこのフレイルについて解説します。

スポンサーリンク

フレイルって何?

フレイルとは

ヒトの老化の過程における「健常」と「要介護状態」の中間であり、健康障害につながる心身の脆弱な状態であると同時に、ストレスに対する予備力の低下に起因した状態である

と定義されています。

フレイルの説明

日本には約300万人の高齢者がフレイルに該当するといわれています。

健常→フレイル→身体機能障害は加齢やストレス、全身疾患によって進行しますが

適切な対応をとることでフレイル→健常に戻ることができます。

身体機能障害→フレイルも戻ることはできますが完全には難しくなります。

そのため的確にフレイルの初期に気づき、対処することが重要です。

フレイルのチェック項目

☑ 体重減少:例)1年間に2kg以上体重が減った

☑ 疲労:例)以前より疲れやすくなった

☑ 筋力低下:例)2ℓペットボトルを運ぶのが大変になった

☑ 歩行速度の低下:例)青信号の間に横断歩道が渡りきれない

☑ 身体活動の低下:例)習い事などで外に出かけなくなった

3つ以上チェックがある方はフレイルの可能性が高いです。

フレイルを予防するための3つの柱

フレイルの予防

フレイルを予防して健康寿命を延ばすために重要なのは

  • 食事:お口を健康にして栄養のあるものをおいしく楽しく食べる
  • 運動:適度な運動で体を動かすことを意識する
  • 社会参加:ボランティアやお友達とごはん、習い事をして外に出かける

この3つになります。

特に社会とのつながりがなくなることがフレイルの入り口になりやすいです。

体が弱ってくると外に出なくなる→家にいるので体を動かさなくなる→体を動かさないからおなかが減らず食事量が減る→外に出るのがつらく、さらに家からでなくなる

このような悪循環でフレイルが進行します。

サルコペニアって何?

フレイルにはサルコペニアというものが関係してきます。

サルコペニアとは

筋肉減少症ともいわれ、骨格筋量と骨格筋力が低下すること

であり、問題は負のサイクルを作ることです。

サルコペニアの負のサイクル

全身の筋肉量が減ると筋力も低下します。

筋肉は体熱を生産するため、筋肉量が減ると基礎代謝量が減ってエネルギーの消費量も減ります。

すると、おなかが減らなくなり食事の量が減って栄養がとれず体重が減ります。

そして、またさらに筋肉量が減るという負のサイクルに陥ります。

お口周りの筋肉も衰えるので食事がしづらくなり栄養がとれなくなります。

体が弱っていくので外にも出なくなったり

活力がなくなり、うつや認知症になりやすくなります。

フレイルはほっておくとどんどん進行します。この負のサイクルをどこかで断ち切らなくてはいけません。

オーラルフレイルを見逃さない!

オーラルフレイルとは

老化に伴う様々な口腔の状態(歯数、口腔衛生、口腔機能など)の変化に、口腔健康の関心の低下や心身の予備能力低下も重なり、口腔の脆弱性が増加し、食べる機能障害へ陥り、さらにはフレイルに影響を与え、心身の機能低下にまで繋がる一連の現象及び過程

と定義されています。

オーラルフレイルはフレイルの中で早期に現れます。

はじめにもいいましたがフレイル→健常は適切に対処すれば戻ることができます。

フレイルが進行したり身体機能障害になっていしまった場合は完全に健常に戻ることが難しくなります。

そのためにオーラルフレイルを見逃さずフレイルを予防することが大切です。

オーラルフレイルのチェック項目

☑ 歯が20本未満

☑ 舌、口唇の運動機能の低下:おしゃべりしていて聞きとりにくいといわれるようになった

☑ 舌圧の低下:食べ物が飲み込みにくくなった

☑ 咀嚼能力の低下:半年前と比べて固いものが噛みにくくなった

☑ 口腔衛生状態不良:舌に汚れがたくさんついている

☑ 嚥下機能の低下:お茶や汁物でむせるようになった

☑ 口腔乾燥:口が乾燥するようになった

3つ以上チェックがある方はオーラルフレイルの可能性が高いです。

オーラルフレイルを予防しよう!

オーラルフレイルはフレイル、身体機能障害の入り口です。

フレイルの予防には食事、運動、社会参加の3つの柱が大切と説明しましたが

お口が健康でなくなると食事がしにくくなります。

すると3つの柱のうち1つが崩れてしまうのです。

お口の健康を守ることが体の健康を守ることになります。

今、健康な人は当たり前に食事しているので想像しづらいと思いますが

自分の好きなものが好きなように食べられないというのは想像以上にストレスになります。

自分の足でしっかり歩いて外に出かけ、友達とおしゃべりして自分の歯でおいしいものを食べることが健康長寿につながります。

今からオーラルフレイル予防のために気をつけることを紹介しますので試してみてください。

歯磨きをしっかりする

歯磨きは口腔ケアの基本です。

虫歯、歯周病で歯を失わないようにしっかりと磨きましょう。

入れ歯を使っている人は入れ歯もきれいにしましょう。

歯の磨き方についてはこちらを読んで下さい

お友達とカラオケに行こう!

カラオケで思いっきり歌ったり、お友達とおしゃべりすることは

舌や唇の運動にぴったりです。

外に出るきっかけにもなりトレーニングと思うのではなく

楽しく遊ぶ感覚でやってみましょう。

舌の筋肉を鍛える

お口の健康には舌の力が必要不可欠です。

舌の力が弱いと食べ物をうまく飲み込めなかったり

口呼吸の原因になります。

あいうべ体操などで舌の力を鍛えましょう。

あいうべ体操、舌の力の大切さについてはこちら

口腔乾燥を改善する

唾液にはさまざまな効果があります。

唾液の量が少なくなると虫歯、歯周病になりやすくなったり

入れ歯が痛くなったり

食べ物の味が変わったりします。

口腔乾燥の改善についてはこちら

まとめ

近年、医学の発達により平均寿命が延びきています。

(男性が81.41歳、女性が87.45歳で過去最高 2019年厚生労働省)

しかし、自立した生活を送れる期間である健康寿命は平均寿命よりも10年ほど短くなっています。

超高齢社会である今だからこそ平均寿命ではなく健康寿命を延ばしていくことを考えなくてはいけません。

お口の健康を守ることで体も健康になることができます。

フレイルの入り口であるオーラルフレイルを予防して健康寿命を延ばしましょう!

現在歯科医院では「口腔機能低下症」の診断名でオーラルフレイルの治療、指導をすることができます。気になることがある人はかかりつけ歯科で相談しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました