たばこと歯周病の関係

歯周病

疲れたー、たばこ吸って一服しよ。

たばこは健康に悪いわよ!

なかなかやめられないんだよね・・・

たばこは体だけでなく歯周病も悪化させますよ。

え?たばこ吸ってると歯が抜けちゃうの?

歯周病を悪化させる因子はたくさんありますがその中でもたばこは重要な危険因子です。詳しく説明していきますね。

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歯周病の全身助長因子

助長因子とは歯周病の直接的な原因とはならないが、細菌感染を増大させたり、免疫機能を低下させて歯周病を増悪させる因子です。

歯周病を悪化させる因子はたくさんあります。

  • たばこ
  • 年齢
  • ストレス
  • ホルモン
  • 服用薬剤
  • 糖尿病などの全身疾患
  • 肥満

この中で最も影響が大きいものが年齢、その次がたばこです。

年をとることは避けられないですが、喫煙は自分の意志、他者からの指導でやめることができます。

僕も以前は喫煙者でしたが禁煙しました。

(たばこをやめるって難しいですよね・・・5回ぐらいは禁煙失敗してます)

たばこと歯周病

喫煙と歯周病についての論文はたくさんあります。

下記の表は非喫煙者を基準として、喫煙の既往がある人、喫煙者を比べて歯の喪失のリスクを比較したものです。

   ハザード比95%信頼区間
非喫煙者1.0基準
喫煙の既往あり
10年以上前1.21.2~1.3
6~9年前1.51.4~1.6
3~5年前1・61.5~1.8
1~2年前1.91.7~2.1
1年未満2.62.1~3.2
喫煙者(1日の本数)
1~4本1.41.2~1.7
5~14本1.91.7~2.2
15~24本2.32.1~2.5
25~34本2.72.4~3.1
35~44本2.92.5~3.3
45本以上3.02.4~3.9

非喫煙者と喫煙者を比較して、たばこの本数が増えるほど歯がなくなる確率が高まり、1日に45本以上たばこを吸う人は吸わない人の3倍も歯をなくしているという研究結果になっています。

たばこを吸う本数が増えるほど歯がなくなりやすい

禁煙してからの期間が長くなると歯の喪失リスクが下がる

つまり、将来歯を残したいのなら今すぐにでも禁煙した方がよいということですね。

どうしてたばこを吸うと歯周病が進行するのか

たばこには、ニコチン、タール、一酸化炭素、ニトロソアミン、ベンゾピレンなど数百種類の有害物質が含まれています。

それらの有害物質が悪さをして歯周病を悪化させていきます。

①ニコチンは末梢血管を収縮させ、循環障害を引き起こすことで局所免疫応答を低下させる。

②一酸化炭素はヘモグロビンと結合しやすく、酸素分圧の低下を招く。

③これらにより組織の再生、修復を阻害する。

④好中球の機能異常を引き起こし、走化性を低下させ、細菌感染防御を低下させる。

⑤マクロファージを活性化させ、サイトカインの過剰生産が骨破壊を助長する。

難しいことをいいましたが、簡単にいうと、たばこに入っている有害物質のせいで体の免疫が反応して、歯が埋まっている骨が溶けてしまい、歯が抜けてしまうということです。

喫煙の影響について

口腔内細菌への影響

歯周病の原因はお口の中のばい菌です。

喫煙によりその細菌に直接影響があるかは、はっきりとした答えが出ていません。

影響があるという研究もあるし、ないという研究もあります。

プラーク、歯石への影響

お口の中の汚れや歯石に対する影響はないとされています。

以前は喫煙者の方が汚れ、歯石が多いと言われていましたが、これは単純に喫煙者のプラークコントロール(きちんと歯を磨けているか)が悪いことが原因であるといわれています。

歯肉への影響

たばこを吸っている人の歯茎は意外にも炎症は見られず線維化していることが多いです。

炎症があると歯茎は腫れて、赤くなり、少し触っただけで出血しますが

これらがみられないのです。

これは、たばこの中のニコチンが歯茎の末梢血管を収縮させ、血流量を減少させるからです。

しかし、炎症がないだけで歯周病のリスクは非喫煙者より高いです。

たばこを吸っている人で『歯磨きの時に血が出ないから自分の歯は健康だ』と思っている人は要注意ですよ。

歯科医院での治療への影響

歯科医院では歯周病の治療で、歯周基本治療、歯周外科治療を行い、歯周病が落ち着いたらメンテナンスで再発を防ぎます。

喫煙はそれらすべてに悪影響があります。

下記の表は喫煙者と非喫煙者で、どれくらい歯周病の治療に効果があったか比べたものです。

プロービング値とは歯周病の重症度を表す値です。

つまり、喫煙者はどれだけ歯周病の治療を頑張っても非喫煙者と比べて治療効果が出にくいということです。

せっかく治療をがんばっても治りにくいなんて・・・

かなしい・・・

まとめ

WHOによると

全世界で年間600万人

日本では年間12万9千人

の人々が喫煙が原因で亡くなっています。

(喫煙による癌、心臓血管疾患の増加による)

『喫煙は緩慢なる自殺』

という言葉があるように喫煙は健康に悪影響があります。

しかし、禁煙はとっても大変です。

何度も失敗したことがある、という人も多いと思います。

ニコチンには依存性があるため、なかなかやめることができません。

日本では近年国の政策、医療機関での禁煙サポート体制が整いつつあります。

自分一人では禁煙は難しい、という人は一度禁煙外来を受診してみてはどうでしょうか。

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