【がん!?】舌やお口にできる疾患まとめ

疾患

前回は見た目に異常はないけれど痛みがでる舌痛症について説明しました。

気になる方は読んでみてください。

今日は器質的変化がある(見た目に異常がある)舌やお口の疾患について説明していきます。

ニュースでも話題になりましたがお口の中にも悪性腫瘍(がん)ができた。

そのようなニュースをみると

「自分は大丈夫だろうか?」

と、心配になりますよね。

実際に舌やお口にできる疾患はどのようなものがあるのか?

できたらどうしたらよいのかを説明していきます。

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口腔がん

お口の中にできるがんを口腔がんといいます。

  • 舌、歯茎にできやすい
  • 1年間で口腔がんと診断される人は約1万人(咽頭癌を含む)
  • 1年間で口腔がんで亡くなる人は約6000人(咽頭癌を含む)
  • 男性に多い
  • 45歳以降に多い
  • 歯科医院での治療中で見つかることが多い

上記が口腔がんの特徴です。

口腔がんは早期発見できれば治る可能性が高いがんです。(5年生存率80%)

しかし、発見が遅れるほど予後が悪くなっていきます。

歯科医院での治療中に見つかることが多いので、定期的に検診に行くように心がけましょう。

他にも歯科検診には様々なメリットがあります。

詳しくはこちらの記事を読んでください。

こんな人は要注意!

  • タバコを吸っている
  • お酒が大好き
  • 虫歯、歯周病の治療をしていない
  • 合わない入れ歯を使っている
  • ずっと歯科検診に行っていない
  • 3週間以上治らない口内炎、潰瘍がある

口腔がんの症状は、痛みただれ違和感白いできものがあるなどです。

上記の特徴、症状があっても歯科検診に行かずにいる人は要注意です。

該当する人が絶対に口腔がんということはありませんが自己判断するのはやめましょう。

治療は口腔外科ですが、まずは一般の歯科医院で診てもらってください。

白いできものの疾患

扁平苔癬

  • レース状、網状、線状の白いできもの
  • 白い周りが赤くなっている
  • C型肝炎の人に発症しやすい
  • 両側の頬粘膜にできやすい
  • 触ると痛みがある
  • 中高年の女性に多い

ステロイド軟膏での治療になります。

口腔カンジダ症

  • カンジダという真菌による感染
  • 糖尿病、血液疾患、口腔乾燥、喘息での吸入ステロイド剤の長期使用などの免疫力低下でおきやすい
  • 白いところをぬぐうととれる

抗真菌薬での治療になります。

お口の中が汚れているとなりやすいので歯磨きや入れ歯の洗浄、定期的な歯科検診を行いましょう。

白板症

  • 白色で少し盛り上がっている
  • 白いところをぬぐってもとれない
  • 頬粘膜、歯茎、舌にできやすい
  • 歯や入れ歯の刺激、たばこ、過度の飲酒などでできやすい
  • 癌になる可能性がある
  • 40歳以降の男性に多い

前癌病変といって「正常な組織よりも癌が発生しやすいように形態的に変化した組織」と定義されています。

癌になる可能性は約7%といわれています。

経過観察を行いながら、必要があれば切除をします。

乳頭腫

  • 白いできものがカリフラワー状になっている
  • 歯や入れ歯の刺激やHPVというウイルスが原因
  • 舌、口蓋、歯茎にできやすい

口腔外科で切除を行います。

水泡(水ぶくれ)ができる疾患

単純疱疹(ヘルペス)

  • HSVというウイルス(ヘルペスウイルス)による感染
  • 口内炎のような小さな水ぶくれがたくさんできる
  • 歯茎、舌、口唇にできやすい
  • 免疫力低下により発症する
  • 発熱する
  • 食事の時に痛み、口臭もする

感染防止のために抗菌薬を服用して、抗ウイルス薬(アシクロビル)による治療を行います。

免疫力が回復すると約10日ほどで治ります。

帯状疱疹

  • VZVというウイルスによる感染
  • 20歳、60歳に多い
  • 免疫力低下により発症する
  • 発熱する
  • 顔の片側に水ぶくれができる
  • 痛みが強い
  • 治癒後に三叉神経痛のような痛みがでる(洗顔、髭剃り、化粧など顔を触ったときに痛む)

感染防止のために抗菌薬を服用して、抗ウイルス薬(アシクロビル)による治療を行います。

免疫力が回復すると約3週間ほどで治ります。

ヘルパンギーナ

  • コクサッキーウイルスA4による感染
  • 4歳以下の幼児に発症する
  • 夏に多い
  • 軟口蓋、口蓋弓などの喉に左右対称に水ぶくれができる
  • 食事のときに強く痛む
  • くしゃみや唾液によって感染する
  • 発熱する

このウイルスに効く薬はないため、水分補給や解熱剤による対症療法を行います。

約10日ほどで回復します。

手足口病

  • コクサッキーウイルスA16やエンテロウイルス71による感染
  • 4歳以下の幼児に発症する
  • 夏に多い
  • 発熱する
  • 両手、両足、お口に水ぶくれができる
  • くしゃみや唾液によって感染する

このウイルスに効く薬はないため、水分補給や解熱剤による対症療法を行います。

約7日ほどで回復します。

天疱瘡、類天疱瘡

  • 免疫が過剰に働いて正常な組織を破壊してしまう自己免疫疾患である
  • 中年の女性に多い
  • 頬、口蓋、舌、歯茎、口唇に水ぶくれができる
  • 食事の時に強く痛む

難治性で4週間以上症状が続くこともあります。

ステロイド、免疫抑制剤による治療を行います。

潰瘍ができる疾患

慢性再発性アフタ(口内炎)

  • アフタとは2~10mmほどの円形の浅い潰瘍のこと
  • 潰瘍面は白または灰白色に覆われてその周りが赤くなっている
  • 定期的に再発を繰り返す
  • 刺激やストレス、アレルギーが考えられているが原因は不明
  • 口唇、口蓋、頬粘膜、舌、歯茎にできやすい
  • 食事の時に痛む

お口の中をきれいにして、ステロイド軟膏を塗って治療します。

1~2週間で治ります。

3週間以上治らない場合は悪性腫瘍の可能性があるので歯科医院で詳しく調べてもらいましょう。

ベーチェット病

  • 詳しい原因はわかっていない
  • ①慢性再発性アフタ②皮膚に発疹③外陰部潰瘍④網膜ぶどう膜炎による目の痛み、の4つがおきやすくなる
  • 30歳前後に多い
  • 良くなったり悪くなったりを繰り返す

難治性で原因不明のため特別な治療法はありません。

ステロイド軟膏や点眼薬を使う対症療法になります。

舌に炎症をおこす全身疾患

鉄欠乏貧血

  • 鉄分不足が原因
  • 息切れ、動悸、疲労感、頭痛がおきる
  • 舌に炎症がおきて痛みがでる(乳頭の萎縮がおきて平滑で発赤を伴う)
  • お口の粘膜が蒼白で貧血様になる
  • スプーン状の爪が特徴

鉄剤の投与による治療を行います。

悪性貧血

  • 胃粘膜萎縮による内因子欠乏によりビタミンB12が不足することが原因
  • 息切れ、動悸、疲労感、頭痛がおきる
  • 舌に炎症がおきて痛みがでる(乳頭の萎縮がおきる)(ハンター舌炎)

ビタミンB12の静注により治療します。

川崎病

  • 何らかの感染による免疫過剰による血管の炎症と考えられているが詳しい原因は不明
  • 4歳以下に多い
  • 38度以上の高熱がでる
  • 首のリンパが腫れる
  • 手足が腫れ、皮がめくれる
  • 体に発疹ができる
  • 目の充血がおきる
  • 舌が充血してぶつぶつができる(イチゴ舌)

免疫グロブリンとアスピリンによる治療を行います。

川崎病は早期治療を行えば数日で症状は治まります。

しかし、心臓の血管に冠動脈瘤ができてしまうと心筋梗塞をおこす危険があります。

上記の特徴がある場合は専門の病院で診てもらいましょう。

溶連菌感染症

  • 溶血性連鎖球菌による感染
  • 38度以上の高熱
  • のどの痛み
  • 全身の発疹
  • 舌が充血してぶつぶつができる(イチゴ舌)

抗生物質による治療を行います。

金属アレルギー

  • 虫歯治療の金属の詰め物から流出する金属イオンが体内に吸収されることでおきる
  • 口内炎ができやすい
  • 舌に炎症がおきて痛い
  • 口唇や口角に炎症がおきる
  • 顔や手、体にアトピーのような発疹ができる

皮膚科と歯科の連携によって治療していきます。

皮膚科でどの金属にアレルギーがあるのか調べ、その金属が虫歯治療の詰め物に使われているのなら違うものに変えていきます。

金属を取り除いたからといってすぐに症状が改善しないこともあるので定期的な検診が必要になります。

亜鉛欠乏症

  • 亜鉛不足が原因
  • 食欲不振になる
  • 口内炎ができる
  • 舌に炎症がおきて痛む
  • 皮膚にも炎症がおきる
  • 味覚障害になる

血液検査を行い、60㎍/dl未満(正常値は80~130㎍/dl)で上記のような症状が出ている場合に診断されます。

食事療法で亜鉛が多く含まれる食材(牡蠣、煮干し、抹茶、ゴマ、カシューナッツなど)を摂取します。

それでも改善しない場合は亜鉛製剤を服用します。

舌がヒリヒリと痛いと訴える患者さんに血液検査をすると亜鉛が不足していることが多く、亜鉛製剤を服用することで舌痛症が改善したという報告もあります

舌に特徴のある疾患

黒毛舌

  • 舌に色素沈着がおこり黒くなる
  • 痛みはない
  • 口の中が汚れていて、たばこを吸っている人に多い
  • 抗菌薬による菌交代現象による(薬の作用でお口の菌数のバランスが崩れること)

舌が黒くなって驚くかもしれませんが心配しなくても大丈夫です。

服用している抗菌薬を中止すると改善します。

舌ブラシで色素を取り除くこともあります。

舌ブラシの使い方はこの記事を参考にしてください。

地図状舌

  • 原因にビタミンB不足やストレスが考えられるが詳しくは不明
  • 舌に地図のような平坦で赤い模様ができる
  • 模様は日によって変化する
  • 痛みはあったりなかったりする

原因が不明なので根本的な治療法はありません。

痛みがなければ経過観察を行い、痛みがある場合は鎮痛剤やうがい薬でお口をきれいにします。

溝舌

  • 遺伝によると考えられているが詳しくは不明
  • 高齢に多い
  • 舌の表面に裂かれたような溝ができる
  • 溝に汚れがたまると痛みがでることがある
  • 溝に汚れがたまったままだと溝が広がることがある
  • 味覚障害がおきることもある

原因不明のため見た目に対する根本的な治療はありません。

溝に汚れがたまりやすいのでお口の中をきれいに保つようにします。

まとめ

舌に異常をおこす疾患はたくさんあります。

お口の問題だけでなく全身疾患によって舌に変化があることもあります。

お口や舌というと歯科、口腔外科ですが原因がお口以外にあるときは内科、皮膚科などとも連携して治療していきます。

病気というのは予防、早期発見、早期治療が重要になります。

特に歯科は痛みなどの症状がないとなかなか検診に行かない人が多いですが、定期的な検診を心がけましょう。

今日はこれでおしまいです。

おつかれさまでした!

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