虫歯の治療や歯周病の治療には麻酔や様々な薬品を使用します。
痛みなどの症状を取り除くために治療をするのですが、薬品や治療にはデメリットや偶発症があります。
歯科治療中の偶発症で頻度の高いものに迷走神経反射というものがあります。
治療中の痛みや緊張で心拍数や血圧が低下して、気分が悪くなったり意識消失が起こります。
これを迷走神経
歯科医師はこのような偶発症が起こらないよに十分注意して治療をしていますがまれに遭遇する偶発症です。
今日は迷走神経反射について解説していきます。
迷走神経反射ってどういうもの?
歯科治療中の血管迷走神経反射に対する処置ガイドラインではこう記されています。
歯科治療に対する不安、恐怖、極度の緊張などの精神的ストレスが背景にあり、痛み刺激などが与えられ、迷走神経緊張状態となり発症する全身的偶発症
歯科治療中の血管迷走神経反射に対する処置ガイドライン
歯科治療が大好き!という人は少ないです。
ほとんどの方は緊張をして、痛くないといいなと思い、何をするのか不安な気持ちがあると思います。
そのような不安や緊張などのストレスがある状態で痛みのある処置が行われたときに迷走神経反射は発症します。
歯科治療では局所麻酔時に多く発症します。
アメリカのデータですが局所麻酔時の0.65%に発症したという報告があります。
迷走神経反射で起こる症状
- 顔面蒼白
- 冷や汗
- 反応が鈍くなる
- 四肢の無力状態
- 吐き気
- 徐脈
- 血圧低下
- 意識消失
意識消失が起こることはまれで、ほとんどの場合は気分が悪くなったり、吐き気がするといった症状で、横になって安静にしていれば回復します。
酸素投与をする場合もあります。
迷走神経反射が発症しやすい人
- 女性
- 若年者(20歳未満)
- 循環器疾患を合併している方(不整脈など)
- 貧血
- 低体重、低栄養
- 歯科治療に不安や恐怖心がある方
男性より女性、20歳未満の方に迷走神経反射が発生しやすい傾向にあります。
循環血液量の減少が血管迷走神経反射の発生や重症化に関係しているといわれているので貧血や低体重、低栄養などの人は注意が必要です。
治療に恐怖心があり緊張しているときに痛みのある処置をすると発症するので、以前に歯科治療にトラウマがあったり、治療が怖いと思っている人に発症しやすくなります。
迷走神経反射を予防する!
先ほども言いましたが、迷走神経反射は不安や緊張、処置の痛みで発症します。
予防するためには治療に対する不安をなくし、痛みが少ない処置をする必要があります。
- 不安や緊張しないように普段から歯科医院に行く
- 痛みに弱いことを伝える
- 専門機関で笑気や静脈内鎮静を行って治療する
- 座ったままより横になる
歯科治療が怖いからといってずっと歯科医院に行かず、痛みが出たときにだけ行くと絶対に緊張します。
安心して任すことのできるかかりつけ医を見つけ、定期健診に行きましょう。
痛みがなくても虫歯や歯周病の予防で歯科医院に行った方が歯の寿命が延びて、全身の健康もよくなります。
詳しくはこちらの記事を読んでみてください。
痛みに弱い方は担当医にそのことを伝えましょう。
迷走神経反射は局所麻酔時に多く発症します。
特に炎症が起きている部位や上下の前歯に麻酔をするときは痛みが強いです。
表面麻酔といって痛みを軽減する麻酔がありますのでできるかどうか聞いてみましょう。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
笑気や静脈内鎮静法も迷走神経反射の予防に有効です。
これらは鎮静法といって行うと精神的、身体的ストレスを和らげてくれます。
しかし、一般の歯科医院で導入されている所は少なく、専門の医療機関に行く必要があります。
静脈内鎮静の場合は静脈路確保のために針の刺入があるのでその時も迷走神経反射が起こる可能性があります。
歯科治療にトラウマがある歯科恐怖症の方におすすめです。
迷走神経反射の対処法
迷走神経反射は座っているときの方が発症しやすいです。
歯科治療は基本的に仰向け姿勢ですのでよいですが、反射が起こったら仰向け姿勢のまま、足を少し上げて安静にするとよいです。
必要に応じて酸素吸入や輸液、アトロピン、エフェドリンの投与を行います。
ほとんどの場合は酸素吸入をして安静にしていると回復してきます。
まとめ
歯科治療の偶発症はまれにですが発症します。
その中でも迷走神経反射は発症しやすく、歯科治療に不安や恐怖心がある人が多いです。
そのような人は痛みのある時だけ歯科医院に行くことが多く、なかなか歯科治療になれることはできません。
安心してお口の治療を任せられる信頼できるかかりつけ医を探しておくことが重要です。
歯科治療が嫌いな人ほど定期健診に通い、虫歯や歯周病の予防をして治療回数を少なくするように心がけましょう。
今日はこれでおしまいです。
おつかれさまでした!
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