歯が痛いよ・・・
虫歯になったの?
それが歯医者に行ったんだけど虫歯とか歯周病じゃないって言われたんだよね。レントゲンでも異常はないって。
それはTCHかもしれません。TCHとは日常生活の中で歯と歯が弱い力で接触していることをいいます。今日はTCHについて説明します。
こんな経験ありませんか?
・歯周病の治療をしているのに歯周病が悪化する
・顎の痛みが改善しない
・歯科医院で異常なしといわれたが歯が痛い
・歯がしみる
・入れ歯が痛い、ずっと入れていると窮屈に感じる
・一日の特定の時間に痛くなる
これらの症状は
ブラキシズム、TCHが原因かもしれません。
ブラキシズムとは
ブラキシズムとは
反復性に上下の歯を当てて行う歯ぎしりや、くいしばりといった咀嚼筋活動を主体とした非機能運動の総称
であり
睡眠時に起こるものと
日中、覚醒時に起こるものがあります。
ブラキシズムによって
歯が折れる
歯が削れる
歯周病が安定しない
知覚過敏
顎が痛い
被せ物がよくとれる
といったことが起こってきます。
TCHとは
Tooth Contacting Habitの略になります。
TCHもブラキシズムと同じく
持続的な歯と歯の接触ですが
その違いは
咬む力 | 歯と歯の接触時間 | |
ブラキシズム | 70%以上の強い力 | 短い |
TCH | 比較的弱い力 | 長い |
このようになります。
つまり、TCHとは
弱い力での歯と歯の接触が、長時間日常生活で繰り返され、習慣化したもの
といえます。
実際に強い力でくいしばることを
長時間継続することはできません。
せいぜい1~2分です。
しかし、弱い力だと
2~3時間でも歯と歯は接触し続けます。
正しいお口の状態
正しいお口の状態は上図のように
唇は軽く閉じている
舌が上あごにくっついている
鼻で呼吸する
歯と歯の間は2~3mmあいている
このようになっているのがよい状態です。
え?歯と歯は普通くっついているんじゃないの?
このように思っている人は要注意です。
基本的に歯と歯の間はあいています。
歯と歯が接触するタイミングは
食事のとき
唾、飲み物を飲み込むとき
言葉を話すとき
ほぼこの時だけです。
これ以外の長時間の歯と歯の接触は
歯や顎に何かしらの問題が発生する可能性があります。
これらを合計して歯と歯の接触は
一日約20分といわれてます。
TCHが起きやすいとき
うつむいた姿勢のとき(スマホを見ているときなど)
集中、緊張しているとき(仕事中、運転中、読書中、料理中、パソコン操作時など)
ストレス、不安なことがあるとき
かみ合わせが悪い人
お口に合っていない入れ歯が入っている人
このようなときにTCHが起きやすくなっています。
歯と歯が接触すると
顔の筋肉が緊張して収縮します。(歯根膜咬筋反射)
これらが繰り返されるうちに
癖となり習慣化され
TCHとなるといわれています。
ブラキシズム、TCHの改善方法
ブラキシズムやTCHの改善で重要なのは
この3ステップが重要です。
①:理解する
上図の矢印のあごの部分に
指を当てて
かむことによって
筋肉が動くことを実感してください。
歯と歯がくっつくと
筋肉が活動すると理解することが重要です。
②:気づく
歯と歯の接触によって筋肉が動くことを理解したら
それをいつ行っているか気づくというステップになります。
パソコン、車、台所など
TCHが起きている可能性のある場所に
シールなどを貼り
それを見たらTCHが起きているか意識するようにします。
シールでなくても音や何かの目印でも
自分がTCHを意識できるなら何でもいいです。
そして、歯と歯がくっついているなと気づくことができたら
深呼吸などして歯と歯が離れる感覚を実感しましょう。
この時に注意することは
歯と歯を離すときは、口を開けようとするのではなく
深呼吸をして離すようにするということです。
無理に歯を離そうとしたり
常に歯と歯を離そうとしていると
顎に負担がかかる場合があります。
自然に歯と歯が離れていることが大切です。
③:②を繰り返す
自分で歯と歯がくっついていると気づくことが出来たら
その気づく頻度を増やしていきましょう。
まずは完全にTCHをなくすのではなく
歯と歯の接触時間が減少して
問題が起きないレベルまでの減少を目標にしましょう。
最終的にはTCHがなくなることが目標です。
寝ているときの歯ぎしりの対策
寝ているときに歯ぎしりしないように意識することはできないのでマウスピースのようなものを歯につけてそのまま寝ます。
基本は上顎だけにつけます。
自分の歯に合ったものでないといけないので歯科医院でつくってもらいます。
寝る前に「自分は歯ぎしりしない」と思いながら寝ることも効果的です。
まとめ
お口の中で気をつけていることは?と聞くと
『虫歯、歯周病』と答える人がほとんどだと思います。
しかし、今回説明したブラキシズムやTCHなどの
自分のかむ『力』のコントロールも
歯を守るためにはとても重要です。
上グラフは、歯の喪失の原因の割合を表していますが
『力』による破折によって歯が喪失するのは17.8%となっています。
ブラキシズム、TCHにより歯周病も悪化しやすいため
『力』による歯の喪失の割合はもっと高いといえます。
実際に診療をやっていて抜歯をするときは、虫歯の治療を繰り返して歯が薄くなっていき最後に歯が折れるというケースが多いように感じます。
お口の健康を守るためには
虫歯、歯周病などの細菌のコントロール
ブラキシズム、TCHなどの力のコントロール
の両方が大切になってきます。
ブラキシズム、TCHは癖となっていて
気づかないうちにやっている方がほとんどですので
意識して気づくことが
力のコントロールの第一歩です。
虫歯、歯周病だけでなく
自分の力もコントロールして
お口の健康を守りましょう!
今日はこれでおしまいです。
お疲れさまでした!
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