このブログでもずっと言っていることですが「お口が健康」ということはとても大事なことです。
おいしいご飯を食べることができる、きれいな歯並びで思いっきり笑えるということや、糖尿病、心臓病、認知症といった全身疾患にも関わってきます。
お口の機能は加齢とともに低下してしまいます。
しかし、機能が低下しないように維持したり、低下するスピードを緩めることはできます。
そのために必要なことが口腔ケアです。
「持病があって歯科医院に連れていけないんです・・・」
そんな場合でも大丈夫です!
訪問診療であれば歯科医師、歯科衛生士が患者さんの家や施設に行って診療を行います。
今日は口腔ケアの大切さについて解説していきます。
口腔ケアとは
お口の病気を予防して健康になり、生活の質を上げよう!ということですね。
おいしい食事を自分のお口から不自由なく食べることができるということはとても幸せなことです。
口腔ケアにはいくつか種類があります。
- セルフケア
- プロフェッショナルケア
- 器質的ケア
- 機能的ケア
セルフケアとは歯ブラシやフロスを使い、自分自身でお口をきれいにすることです。
プロフェッショナルケアは歯科医師、歯科衛生士が患者さんのお口、体の状態を考えて計画的に専門的なケアを行うことです。
どちらか一つだけでなく両方しっかりと行うことが重要です。
プロフェッショナルケアは器質的ケアと機能的ケアに分かれます。
器質的ケアとはお口の清掃が中心のケアです。
お口が汚れていると歯周病菌や虫歯菌の数が増え、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
また、免疫力が低下した人はお口の中の細菌が原因で誤嚥性肺炎のリスクも上がります。
お口の清掃をしっかりと行うことで細菌の数を減らしてこのような疾患になるリスクを下げることができます。
機能的ケアとはお口の機能を予防、リハビリテーションを行います。
お口の機能とは「食べる」「飲み込む」「話す」「唾液を出す」などです。
加齢や疾患によって低下したこのようなお口の機能のリハビリテーションを行って、生活の質を上げることが目的です。
口腔ケアの目的
リハビリテーションとは訓練することが目的ではありません。
口腔ケアも訓練を行うことが目的ではなく、訓練を行い、お口の機能が正しく行えるようにしてもとの生活をとり戻すことが目的です。
- 口腔内を清潔に保つ
- 虫歯、歯周病の予防
- 誤嚥性肺炎の予防
- 唾液分泌の向上
- 粘膜刺激による咳反射、嚥下反射の向上
- 構音機能の改善
- 感情表現の表出
- 口腔内の爽快感
- 生活の質(QOL)の向上
口腔ケアによりお口の中が清潔になると細菌数が減少します。
細菌数の減少によって虫歯、歯周病、誤嚥性肺炎の予防をすることができます。
お口の機能は使わないと低下していきます。
脳血管疾患の後遺症や日常生活でお口の機能を使わなくなると廃用萎縮が起きて、筋肉や骨、お口の機能が減退します。
口腔ケアによって口唇、頬、舌を刺激するとお口が活性化されて機能が改善されます。
胃ろうなどの経管栄養でも口腔ケアは必要!
胃ろうなどでお口から食べ物を食べていない場合は口腔ケアが必要ないと思われるかもしれませんがそれは違います。
食べ物を食べなくてもお口に汚れはたまります。
お口の中にはもともと細菌が存在するので、お口の中が汚れていると細菌は増殖していきます。
お口から食べ物を食べていないので嚥下機能の低下や唾液分泌の低下が起きて、誤嚥性肺炎が起きやすくなります。
食事は口からしていなくても唾液は飲み込んだりしていますからね。
お口の中に細菌がたくさんいると唾液と一緒に飲み込んで誤嚥すると肺炎が起きやすくなってしまいます。
経管栄養の方に口腔ケアを行って唾液分泌を促したり、お口の機能を向上させることはとても重要です。
誤嚥性肺炎と口腔ケアの関係についてはこの記事を参考にしてください。
お口の中の細菌は全身疾患にも関与している
お口の中の細菌が増殖して歯周病が重症化すると全身疾患のリスクが上昇するといわれています。
- 低体重児早産
- 心血管疾患(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞など)
- 糖尿病
- 肺炎
- アルツハイマー
特に糖尿病は歯周病が悪化すると糖尿病も悪化し、糖尿病が悪化すると歯周病も悪化するという相関関係にあるといわれています。
糖尿病と歯周病の関係についてはこの記事を参考にしてください。
歯周病が進行すると最終的には歯が抜けてしまいます。
すると、今まで食べることができたものが食べられなくなり、柔らかいものばかり食べたり、食べ物をよく噛まずに飲み込むようになります。
よく噛むことで脳は活性化するといわれているのでこの状態がずっと続くと認知症のリスクが上がるようになります。
詳しくはこの記事を参考にしてください。
口腔ケアのやり方
全身疾患の有無や投薬状況、体の状態を考慮してどのように口腔ケアを行っていくか決めます。
医科との連携も必要です。
器質的ケアと機能的ケアに分けて行います。
器質的ケアのやり方
高血圧など全身疾患がある方には血圧や心拍数をモニタリングしながら行います。
誤嚥しないように口腔ケアを行う姿勢は座った状態か、ベットを45~60度に起こして行います。
寝たきりの場合は横を向いてもらって行います。
嚥下機能が低下していたり、麻痺がある方は特に注意が必要です。
口腔乾燥がある方は口角や口唇に粘膜湿潤剤を塗って保護します。
歯ブラシ、スポンジ、清掃剤を使って粘膜、歯、舌の汚れを除去します。
機能的ケアのやり方
お口周りの筋肉や舌を鍛えて、呼吸、発音、食事などの機能改善を行います。
- あいうべ体操
- パタカラ体操
- ベロ回し運動
- 唾液腺マッサージ
- 歯肉マッサージ など
機能訓練の種類は様々です。
いくつか紹介しているので詳しくはこの記事を参考にしてください。
このような訓練は重要ですが、風船を膨らませたり、カラオケをしたり、みんなで話すだけでもお口の訓練にはなります。
まとめ
口腔ケアの重要性について解説しました。
口腔ケアは単にお口を掃除するだけではありません。
食べる、話す、呼吸するなどの機能についてもアプローチを行い、QOLの向上を目的としています。
歯科医院に通院できない人も訪問診療が可能ですので希望の方は訪問診療を行っている歯科医院に相談してみましょう。
今日はこれでおしまいです。
おつかれさまでした!
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