顎が痛い!これって顎関節症?

疾患

「大きな口を開けると顎が痛い」

「口を開けるとポキッっという音が鳴る」

「口が開かなくなった」

これらの症状がある方は顎関節症かもしれません。

顎関節症は虫歯、歯周病に並んで第三の歯科疾患といわれています。

5~6人に1人は顎関節症です。

音が鳴るくらいだと日常生活に支障はありませんが痛みがあったり、口が開かなくなると日常生活に支障がでてきます。

今日はどのようにして顎関節症になるのか、その治療法について説明していきます。

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5~6人に1人は顎関節症

顎関節に何らかの症状がみられる人は日本に約1900万人といわれています。(平成 28 年歯科疾患実態調査より)

20~40代の女性に多いです。

下図は顎関節症の症状を自覚する性、年齢の割合です。

加齢とともに減少していることがわかります。

顎関節症の症状

顎関節症になると

  • 食事をすると顎が痛い
  • 口を大きく開けると痛い
  • 顎からポキッと音がする
  • 口が開かない

といった症状がみられます。

顎関節症の原因

顎関節症になるメカニズムはよくわからないことが多いです。

日常生活における色々な要因が合わさって発症するといわれています。

顎関節症のリスク因子
  • 緊張する仕事、多忙な生活、対人関係の緊張などのストレス
  • 硬いものばかり食べる
  • 長い時間噛み続ける
  • 長時間のデスクワーク
  • 楽器演奏
  • 仕事で重いものを持つ
  • 日中、就寝中に歯ぎしりや食いしばりをする
  • 姿勢が悪い
  • 頬杖をつく
  • うつ伏せ寝をする

顎関節ってどうなっているの?

上顎骨と下顎骨は直接くっついているわけではなく、筋肉によってくっついています。

上顎骨のくぼみに下顎骨の出っ張りが入り込んでおり、その間にはクッションの役割をする関節円板というものがあります。

脳からの信号で筋肉を動かすことにより口が開いたりし閉じたりするんですね。

クッションのおかげでスムーズに口の開け閉めができます。

上顎骨のくぼみに下顎骨の出っ張りが入り込んでいるところを顎関節といいます。

下顎を動かす筋肉や関節円板、骨に異常が起こると顎関節症になります。

顎関節症の分類

筋肉、関節円板、骨のどこに異常があるかで顎関節症は分類されます。

顎関節症の分類

Ⅰ型:咀嚼筋障害

Ⅱ型:顎関節痛障害

Ⅲ型:関節円板障害

    a.復位性

    b.非復位性

Ⅳ型:変形性顎関節症

Ⅰ型:咀嚼筋障害

咀嚼をする動きに関わる筋肉を咀嚼筋といって咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4つがあります。

Ⅰ型はこれらの筋肉に炎症が起きることをいいます。

顎の筋肉を押さえたり、食事をしたりすると痛みがでます。

Ⅱ型:顎関節痛障害

関節円板には靭帯や結合組織、筋肉がくっついています。

Ⅱ型は硬いものを噛んだり、あくびで大きく口を開けたりすることでこの靭帯や結合組織が損傷して炎症が起こるとをいいます。

食事がしづらくなったり、痛みがでます。

Ⅲ型:関節円板障害

上図の黄色い部分が関節円板です。

関節円板はひょうたんのような形をしていて真ん中がへっこんでいます。

口が開いたり閉じたりするとそれに合わせて関節円板も動きます。

Ⅲ型はこの関節円板の位置がずれたり、変形したりすることをいいます。

顎関節症の患者でこのⅢ型が一番多く、6~7割はⅢ型といわれています。

関節円板の位置が少しずれてもとに戻る場合と位置がずれてもとに戻らない場合があります。

戻る場合を復位性、戻らない場合を非復位性といいます。

上図の右下(Closed lock)が非復位性、他の3つが復位性です。

復位性では関節円板の位置がずれている所からもとに戻るときにポキッという音が鳴ります。

「顎が鳴る」という症状はⅢ型復位性の特徴です。

Ⅲ型復位性から進行すると非復位性になります。

非復位性ではポキッという音はしなくなりますが口が開かなくなってしまいます。

Ⅳ型:変形性顎関節症

Ⅳ型は関節円板や軟骨、顎関節の骨が変形することをいいます。

症状は顎が開きにくい、口を開けたときの痛み、ゴリゴリ、ジャリジャリといった音(クレピタス音)が鳴ります。

Ⅲ型非復位性から進行して骨や関節円板が変形することが多いです。

Ⅳ型は加齢によって増加します。

顎関節症の治療

顎関節症は20~40歳に多く、その後は減少します。

つまり、時間とともに改善する傾向にあるのです。

そのため、もとに戻らない治療をせず(歯を削ったりすること)、日常生活で顎に負担がかからないように注意してもらい経過観察することも多いです。

筋肉や顎関節の組織の炎症による痛みは一時的で改善することが多いですが、顎が「ポキッ」っとなったりする症状は慢性的になり完全に消失することは難しいです。

そのため、治療は症状の完全消失ではなく、生活に支障がないレベルを目指す場合があります。

完全なる症状の消失ではなく顎関節症とうまく付き合っていく方法をとる場合があるということです。

顎に負担がかからないようにする

先ほども説明しましたが顎関節症は色々な要因が合わさって発症します。

顎に負担がかかると顎関節症になりやすいため、次のことに気をつけましょう。

  • 日常のストレスを減らす
  • 硬いものばかり食べない
  • あくびなどで大きな口を開けすぎない
  • 頬杖をつかない
  • うつぶせ寝をしない
  • 重いものを持ったり、筋トレなどでの食いしばりに注意
  • TCHに注意

TCHとはTooth Contacting Habitの略で持続的な歯の接触をいいます。

歯と歯がくっついている時間は1日平均17分といわれています。

これ以上の歯の接触は歯にも顎にも負担をかけます。

無意識にやっていることが多いので注意が必要です。

TCHについてはこちらの記事を参考にしてください。

顎のマッサージをする

顎の筋肉が痛い場合はお風呂などで温めながら筋肉をマッサージしましょう。

口の開け閉めをゆっくり5~10回ほどして筋肉を伸ばすのも効果的です。

マウスピースをつくる

上顎にマウスピースをつくって寝ているときに装着します。

マウスピースをつけることで筋肉の緊張を緩和して顎の負担を減らすことができます。

歯科医院で型どりをして専用のマウスピースをつくります。

まずは歯科医院で相談する!

顎関節症は原因が筋肉なの靭帯なのか関節円板なのかで治療法が異なります。

痛みが続いたり、何度も繰り返すようなら一度歯科医院で相談してください。

専門は口腔外科ですがまずは一般の歯科医院で診てもらいましょう。

自己判断せず、歯科医院で相談してみましょう。

まとめ

顎関節症は時間とともに悪化するよりも改善していくことの方が多い疾患です。

しかし、一時的な炎症による痛みは治りますが、口を開け閉めすると音がなるなどの症状が完全に回復することは難しいです。

顎関節症の治療のゴールは完全な治癒だけではなく、日常生活に支障がないように顎関節症とうまく付き合っていくということを目指す場合もあります。

自分は顎関節症なのか、原因は何か、今後どうしていったらよいのか、ということを歯科医院で診断してもらう必要があります。

痛みが続いている、何度も繰り返す、口が開かなくなったなどの症状がみられる場合は歯科医院で相談してみましょう。

今日はこれでおしまいです。

おつかれさまでした!

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