皆さんはAGEsというものを聞いたことはあるでしょうか?
AGEsは終末糖化産物といって体の老化に関与しています。
AGEsが体に蓄積されることで様々な問題が起こり、寿命を短くする原因になります。
今日はAGEsはどのように体に蓄積され、どのような問題を起こすのかについて解説します。
このブログではお口に関係することを多く紹介しています。
ここで紹介するということは・・・
AGEsはお口にも問題を起こしてきます。
それは歯周病です。
お口のトラブルというと「歯を磨かないことで起こる」というイメージが強いと思います。
今回のように「歯を磨かない」以外にもお口のトラブルを引き起こす原因はたくさんあります。
AGEsを体内に蓄積しにくくする方法も紹介するのでぜひ最後まで読んでいってください。
AGEsとは?
AGEs(エージス)はAdvanced Glycation End Productsの略語で、終末糖化産物ともいいます。
複数形の「s」がついているのはAGEsにはたくさんの種類があるからです。
アクリルアミドという悪玉AGEsは発がん性があるともいわれています。
AGEsは身体の老化に関与するといわれていて、蓄積することでがん、骨粗鬆症、アルツハイマー、白内障、動脈硬化、糖尿病合併症、シワやシミを悪化させる恐れがあります。
AGEsはどうやって産生されるの?
AGEsはタンパク質と糖から産生されます。
体内で産生されるものと体外で産生されるものがあります。
体外で産生されるAGEs
タンパク質と糖質を加熱することでAGEsが産生されます。
トンカツ、食パン、焼きおにぎりなどを調理する時、加熱すると褐色になりますよね?
これをメイラード反応といってこの時にAGEsが生成されます。
特に肉、魚、チーズ、卵などタンパク質を多く含む食品の調理で増えやすくなります。
調理法でも蒸す、ゆでるといったことよりも揚げる、焼くといった高温の調理法の方が増えやすくなります。
揚げる>焼く>電子レンジ>ゆでる>生
食べ物に含まれるAGEsの10%が吸収されて、7%が体内に蓄積されるとされています。
体内で産生されるAGEs
糖尿病と喫煙によって体内でAGEsが産生されます。
糖尿病
糖尿病とはインスリンが効かない、またはインスリンが足りないために血液中のブドウ糖(グルコース)が増える(血糖値が上がる)病気です。
高血糖状態が続くと血液中のタンパク質と糖が結合してAGEsが産生されます。
AGEsの量=血糖値×持続時間
AGEsの量は上記の計算式で表され、血糖値が高い時間が長いほどAGEsが体内で蓄積されていきます。
喫煙
タバコは緑色のタバコ葉を高温で加熱して作られます。
熱によるメイラード反応によってタバコ葉が褐色になるときにAGEsが含まれるようになります。
喫煙によって肺からAGEsが吸収されて体内に蓄積されます。
本数が多く、喫煙歴が長いほどAGEsは体に溜まっていきます。
血液中と皮膚中のAGEs濃度は非喫煙者よりも喫煙者の方が高くなるというデータがでています。
AGEsが増えると体にどんな影響があるの?
血管などの細胞の表面にはAGEsと結合するRAGEという受容体があります。
AGEsが体内で増加していくとRAGEと結合するAGEsも増えます。
血管のRAGEにAGEsが結合すると、血管の基底膜が厚くなり、酸素や栄養、老廃物が血管壁を通ることができなくなります。
さらに、AGEsは血管内の悪玉コレステロールに働きかかて、通常ならマクロファージに貪食されてなくなるコレステロールを泡沫細胞という状態で血管に蓄積し、アテロームという塊を形成して血液の流れを邪魔します。
すると、血流が悪くなり、細胞への酸素や栄養の配給、老廃物の排出ができなくなってしまいます。
さらに、自然免疫である好中球も血管の外に出れなくなるので免疫力も低下します。
血管が狭くなり血流がストップする動脈硬化はこのようにして起こります。
AGEsはマクロファージに貪食されて歯周病の進行に関わるIL-1、TNF-αなどの炎症性サイトカインを産生して炎症を起こします。
さらに、AGEsはマクロファージのRAGEにはたらきかけ、たくさん炎症性サイトカインを放出する歯周病を悪化させやすいものに変化させます。
こうしてマクロファージは歯周病を悪化させる原因である炎症性サイトカインの産生を抑えられなくなって歯周病が進行しやすくなります。
AGEsの老化への関わりが深いのがタンパク質の1つであるコラーゲン線維の架橋構造の変化です。
コラーゲン線維は通常は架橋結合でつながっています。
通常の架橋構造であれば弾力があり、古くなればコラゲナーゼという酵素によって分解され新しいコラーゲン線維に置き換わっていきます。
しかし、AGEsによる架橋構造になると弾力がなくなって、古くなっても分解されにくくなり、AGEsにより弾力が低下したコラーゲンがずっと残ってしまいます。
すると、肌のハリがなくなり、たるみの原因となります。
AGEsは細胞にあるRAGEという受容体に結合して、細胞本来の働きを阻害することで、体に様々な問題を引き起こします。
AGEsによってどのような病気になるの?
- がん
- 骨粗鬆症
- 認知症
- 白内障
- 糖尿病合併症
- 動脈硬化
- 脳卒中
- 歯周病
- シワ、シミ
AGEsが体内に蓄積されることで上記のような疾患になりやすくなります。
AGEsを貯めないようにするにはどうしたらよいの?
AGEsを体内に蓄積させないようにするには
よい生活習慣を心がける。特に食事と運動!
これらを意識することが大切です。
AGEsの蓄積は食事、糖尿病、喫煙が関係しています。
糖尿病も生活習慣病の1つで、ファストフードが多かったり暴飲暴食が多いといった不規則な食生活が原因です。
禁煙をして食生活を改善して、睡眠や運動も十分に行い、糖尿病を予防することがAGEsの体内の蓄積を防ぐ方法になります。
糖尿病についてはこの記事を参考にしてください。
バランスのよい食事を心がける
基本はこれになります。
主食(糖質)、主菜(魚、肉、卵、大豆などのタンパク質)、副菜(野菜、海藻、きのこなど)をバランスよくとるようにします。
ラーメン×チャーハンなど主食ばかりにならないように気をつけましょう。
ラーメンとチャーハンってすごくおいしいけど・・・健康のためにはほどほどにしないといけないのか!
血糖値が高い状態が長時間続かないようにする
AGEsの量は血糖値×持続時間で決まります。
つまり、高血糖状態が長時間続くことでAGEsが蓄積されていきます。
三食の食事以外に間食が多いと高血糖の時間が長くなります。
食事の回数にも注意しましょう。
野菜から食べる
食事の順番も関係してきます。
食物繊維は食べ物の消化、吸収を遅らせることにより、食後の血糖値の上昇を抑えることができます。
その結果、メイラード反応が起こにくくなり、AGEsが産生されにくくなります。
揚げるなどの高温調理によってAGEsは増加するため、できるだけ生で食べた方がよいです。
生野菜→汁物、酢の物→肉、魚などのタンパク質→米などの炭水化物
この順番がAGEsを産生させにくい食べ方になります。
よく噛んでゆっくり食べる
早食いをすると糖質が一気に消化、吸収されて血糖値が急激に上がります。
早食いだと満腹中枢を刺激される前に食べ過ぎてしまい、肥満の原因になります。
また、よく噛むことで唾液が出やすくなり虫歯、歯周病の予防や脳の活性化による認知症の予防もできるといわれています。
詳しくはこちらの記事を読んでください。
血糖値の急激な増加はAGEsが産生されやすくなるため、よく噛んでゆっくり食べるようにしましょう。
AGEsが少ない食事、調理をする
- ファストフード
- 揚げ物などの高温の調理法
- 果糖入りの清涼飲料水
上記はAGEsが多い食べ物です。
AGEsは揚げる>焼く>電子レンジ>ゆでる>生の順に増えやすくなります。
ファストフードなどは早く提供するために高温の油を使用していることがあります。
すると、通常の料理よりAGEsが増えやすくなります。
糖質である果糖はブドウ糖の10倍以上のは早さでAGEsを産生します。
果糖は砂糖よりも甘く、飲めば飲むほど欲しくなり、依存性があるともいわれています。
ハンバーガー、フライドポテト、清涼飲料水などはAGEsがとても多いので食べすぎには注意しましょう。
ビタミンB1,B6、カテキン、酢を摂取する
ビタミンB1やB6、カテキンにはAGEsができにくくする効果があります。
- ビタミンB1:豚肉(ヒレ、モモ)、うなぎ、豆腐、玄米ご飯
- ビタミンB6:まぐろ、かつお、バナナ、玄米ご飯
- カテキン:抹茶、大豆、小豆、ココア
上記の食材を使ってAGEsの形成を防ぎましょう。
また、酢には消化をゆっくりにする働きがあるため、糖分の吸収を遅らせて、血糖値の上昇を抑えることでAGEsが増えづらくなります。
味付けを酢やレモンにするとよいといわれています。
適度な運動をする
食事だけでなく運動をすることも心がけましょう。
食後の運動には血糖値の上昇を抑える効果があります。
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動でもよいです。
「食後の運動は難しい!」という方は食後でなくても運動を習慣化することで血糖値が上がりにくい体になることができます。
まとめ
皆さんはずっと元気に健康でいたいと思っていると思いますが、誰しも必ず年をとります。
しかし、肌や筋肉、骨などは食事、運動に気をつけることで若さを保つことができます。
今だけでなく将来のことを考えて生活することが大切です。
暴飲暴食、不規則な食生活、運動を全くしないということはやめましょう。
今回のAGEsでもそうですが健康にはどのように食事するかが重要です。
虫歯や歯周病だと痛くて噛めずに丸飲みになったり、合っていない義歯を使っていると食べれるものが制限されます。
ずっと健康でおいしい食事をとるためには歯をきれいにしておく必要があります。
なかなか痛みがないと歯科医院には行かないと思いますが、定期的なメンテナンスが歯だけでなく体の健康も守ります。
是非、定期的に歯科検診に行く習慣をつけてください。
今日はこれでおしまいです。
おつかれさまでした!
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