虫歯予防でフッ素がいいってよく聞くけどどういうふうに使うのが一番いいのかな?
ネットでフッ素は危険っていってたけど大丈夫なの?
フッ素はフッ化物という形で海や土、食品にも含まれています。皆さんが普通に生活してフッ化物入りの歯磨き粉、歯科医院での定期的なフッ化物塗布を行うくらいでは危険はありません。詳しく説明していきます。
※フッ素とは元素名であり実際にはフッ化物という形で存在しています。正確に言うとフッ化物なのですがフッ素の方がなじみがあると思いますのでこの記事ではあえてフッ素ということがあります。
フッ素によって歯は強化される!
歯のエナメル質はハイドロキシアパタイトという成分でできています。
ハイドロキシアパタイトはカルシウム、リン酸、水酸基というものから構成されています。
ハイドロキシアパタイトは酸に弱くジュースやばい菌が出す酸に触れるとカルシウムやリン酸といったミネラルが溶けだします。
これを脱灰といいます。
酸がなくなると溶けだしたミネラルが歯に戻ってきます。これを再石灰化といいます。
脱灰が進むと歯がもろくなり穴があきます。これが虫歯です。穴があいてしまうともう元には戻りません。
お口の中にフッ素があると再石灰化でミネラルが歯に戻るときにフッ素も歯にとり込まれます。すると
ハイドロキシアパタイト→フルオロアパタイト
という成分に変化します。
フルオロアパタイトはハイドロキシアパタイトよりも酸に強いため虫歯になりにくくなるのです。
これがフッ素によって歯が強化される仕組みです。
さらにフッ素は再石灰化を促進したり
ばい菌自体の活動を抑制してくれます。
フッ素は世界中で利用されている
虫歯予防といえばスウェーデン
虫歯予防国として有名なスウェーデンも虫歯予防にフッ素を推奨しています。
スウェーデンの虫歯予防方法は
- 歯ブラシ以外にもフロスやタフトブラシも使って汚れをおとす。
- フッ素を使う
- 食後、寝る前はしっかり歯を磨く
- キシリトールガムをかむ
- 定期的に歯科医院に通って口腔ケアを行う
このようになっておりフッ素を使って虫歯予防をしています。
水道水フロリデーション
日本では行われていませんが世界には水道水フロリデーションという方法があります。
フッ素は海や土、食品などにも含まれています。
そこで、飲料水中に存在するフッ化物の量を適正な濃度に調整し、その飲料水を摂取することにより虫歯を予防する方法を水道水フロリデーションといいます。
この方法は世界保健機関(WHO)、米疾病予防管理センター(CDC)、国際歯科連盟(FDI)など150以上の専門機関が推奨しています。
水道水フロリデーションを実施している国(人口の50%以上)
国名 | 実施人口 |
シンガポール | 100% |
香港 | 100% |
ブルネイ | 95% |
ガボン | 86% |
オーストラリア | 80% |
マレーシア | 75.5% |
アイルランド | 73% |
イスラエル | 70% |
チリ | 70% |
アメリカ合衆国 | 66% |
ニュージーランド | 61% |
この他、54ヵ国、約4億4000万人がこの利益を受けている
このように世界中でフッ素は虫歯予防に使われています。
フッ素の安全性には科学的根拠がある
フッ素の過剰摂取で起きてくる問題は
- フッ化物中毒
- 斑状歯
- 骨硬化症
があります。
吐き気、嘔吐などのフッ化物中毒を起こすフッ素の量は体重1kgで2mgといわれています。
これは歯磨き粉チューブ1本すべて飲んでしまっても大丈夫な量です。(絶対にやらないでください。)
斑状歯とは歯が顎の骨の中にある子供のころにフッ化物(2ppm以上)を継続的に摂取した場合におこる歯のエナメル質の白濁です。
骨硬化症は8ppmものフッ化物を20年間継続的に摂取した場合におこるといわれています。
先ほど紹介した水道水フロリデーションのフッ素濃度が1ppmです。
日本は水道水フロリデーションやフッ化物の錠剤の服用もないので
容量を守った普段の歯磨きや歯科医院での定期的フッ素塗布では心配ありません。
また、ネットではフッ素を使うことで子供のIQが下がる、癌になりやすい、エイズの原因になる、ダウン症候群と関係がある、アルツハイマー、心臓病の原因になるといった情報がでていますがこれらに科学的根拠はありません。
どの薬剤も適量を守らなけれが体に害をもたらします。
フッ素も同じです。
適量を守れば問題はおきず安全に使用することができ体に利益をもたらします。
ネットの情報に惑わされず専門機関に相談してみましょう。
フッ素での虫歯予防のやり方
効果的なフッ素の利用方法としては
毎日の歯磨きでフッ化物入りの歯磨き粉を使う
フッ化物洗口を行う
定期的な歯科医院でのフッ素塗布をしてもらう
があります。
フッ化物入りの歯磨き粉
フッ素は年齢によって量が変わりますので年齢によって1回に用いる歯磨き粉の量も変わってきます。
歯磨き粉の量は歯ブラシに出す長さで調節します。
年齢 | 量 | フッ素濃度 |
6ヶ月~2歳 | 切った爪程度の少量 | 500~950ppm |
3~5歳 | 5mm以下 | 500~950ppm |
6~14歳 | 1㎝ | 950ppm |
15歳~ | 2㎝ | 950~1500ppm |
ppmはフッ素の濃度を表す単位です。
1ppmは100万分の1で1ppmは水1トンにフッ素1gが溶けていることになります。
磨き終わったあとに何回も口をゆすぐとフッ素が流れすぎてしまうので1回5秒程度ゆすぐだけにしましょう。
歯の磨き方についてはこちらの記事を読んでみて下さい。
フッ化物洗口
フッ化物洗口には毎日法と週1回法の2つがあります。
毎日法は濃度が250ppm、週1回法は900ppmとなっています。
やり方は夜寝る前、歯磨き後に30秒間ブクブクうがいをして液が歯にいきわたるようにしてください。
洗口後は十分吐き出して30分は飲食をとらないようにします。
4歳ごろからできますが、まずは水でブクブクうがいができるか確認してからにしましょう。
ミラノール、ビーブランドのフッ化ナトリウム洗口液0.1%がおすすめです。
歯科医院で購入することができます。
歯科医院での定期的なフッ素塗布
フッ素濃度:9000ppm
塗布間隔:1年に2回以上(虫歯のリスクに応じて変わる)
方法:歯ブラシや綿球にフッ素をつけて歯に塗ったり、トレーに入ったフッ素を歯につける
注意事項:塗布後30分は口をゆすがない
毎日使う歯磨き粉ではフッ素濃度は500~1500ppmですが
歯科医院で行うフッ素塗布では9000ppmと高濃度を使います。
安全性は大丈夫なの?と思うかもしれませんが
これも歯科医院ではフッ素の量が過量にならないように計算して使用しています。
適量を守れば心配いりません。
子供はもちろん大人にも予防効果があります。
まとめ
フッ素は虫歯予防に必要不可欠です。
歯ブラシやフロスなどでのお口の掃除も重要ですが完全に汚れを取りきるのは難しいのです。
特に子供で萌出したばかりの永久歯は成熟するまですごく虫歯になりやすいです。
虫歯で穴があいてしまうと歯は二度と再生しません。
別の材料を詰めるしかなくなります。
その材料も古くなると壊れてしまったり、詰め物と歯の境目は虫歯になりやすいためまた虫歯になったり再治療になる可能性が高くなります。
1本でも虫歯の治療をしたことがある方、大人の歯が生え始めた子供、歯周病で歯茎が下がり歯の根っこが見えている方などは虫歯のリスクがすごく高くなります。
フッ素を正しく使って虫歯のリスクを減らしましょう!
今日はこれでおしまいです。
お疲れさまでした!
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