歯がグレーやイエロー、ブラウン色で縞模様となることがあります。
これをテトラサイクリン歯といいます。
歯の色が暗くて縞模様だと気になりますよね?
うまく笑えなかったり、人前で話せない人もいるかもしれません。
今日はどうしてこのような色や模様が歯にできるのかを説明していきます。
テトラサイクリンって何?
テトラサイクリンとは抗生物質の種類です。
他にはセフェム系、ペニシリン系、マクロライド系があります。
静菌的に作用して、細菌のタンパク質合成を阻害します。
昭和40年ごろに風邪薬のシロップとしてよく服用されていました。
現在でもマイコプラズマ肺炎などに対して使用されます。
鉄や亜鉛、カルシウムと結合しやすいという性質があります。
テトラサイクリン歯とは?
歯の形成期(0~6歳ごろ)にテトラサイクリン系抗生物質を長期投与した場合、副作用で歯が変色して縞模様が現れることがあります。
これをテトラサイクリン歯といいます。
変色はグレー、ブラウン、イエローが多く、どのような種類のテトラサイクリン系抗生物質を服用していたかで違ってきます。
そのため、妊娠中や授乳中の女性、0~6歳の小児はテトラサイクリン系抗生物質を服用する時は注意が必要です。
どうして歯が変色したり縞模様ができるのか
テトラサイクリンは鉄や亜鉛、カルシウムと結合しやすいという性質があります。
6歳ごろに生える大人の歯はお母さんのお腹の中にいるときからつくられはじめ、生まれたときには石灰化を開始します。
そのため、歯の形成期である0~6歳ごろにテトラサイクリンを服用すると歯のカルシウムと結合して象牙質に着色します。
0~3歳ごろに服用すると歯の切端が、3~6歳に服用すると歯の根元が、0~6歳と長期にわたって服用すると歯全体が着色します。
そして、紫外線によって歯の色が濃くなるので、光の当たりやすい前歯の着色が年々濃くなっていきます。
これは紫外線によってテトラサイクリンが酸化するためといわれています。
テトラサイクリン歯の分類
テトラサイクリン歯にも軽度から重度があり、4つに分類されています。
重症度によって治療法が変わってきます。
F1、F2まではホワイトニングで改善できることがありますが、F3、F4はホワイトニングをしても改善しなかったり、縞模様が目立ってしまい、逆に審美的に悪くなることがあります。
後述しますがその場合は歯を少し削合してラミネートべニアという被せ物で改善します。
審美障害による心理的負担
テトラサイクリンの着色は虫歯などと違って放置していても問題はありません。
しかし、見た目が気になるといった審美障害による心理的負担がある場合は治療の必要があります。
歯の変色で嫌な思いをしている人は多く、4割ほどいるというデータもあります。
思春期の時期に歯の変色でいじめにあったり、社会人になった後のコミュニケーション、結婚などのイベントで歯の変色は思った以上に心理的負担となります。
歯の変色が原因でうまく笑えない、人前で話せない、自分に自信が持てないなど悩んでいる方は治療を考えましょう。
テトラサイクリン歯の治療法
テトラサイクリン歯の治療法は数種類あります。
- ラミネートべニア修復
- ホワイトニング
- クラウン修復
- レジン充填
クラウン修復は歯全体を削合して被せ物をする治療、レジン充填は歯の表面を削合してプラスチックの材料を詰める治療です。
クラウン修復は歯の削合量が多く、レジン充填は時間が経過すると変色してくるので通常はラミネートべニア修復、ホワイトニングで治療します。
クラウン修復、レジン修復については以下の記事を参考にしてください。
ホワイトニング
先ほど説明したファインマンの分類のF1、F2までならホワイトニングで歯を削合せずに治療します。
縞模様がない場合ですね。
ホワイトニングには歯科医院で行うオフィスホワイトニングと家で自分で行うホームホワイトニングがあります。
着色が軽度ならオフィスホワイトニングでもよいですが着色が強いならホームホワイトニングの方がよいと思います。
詳しくはこの記事を参考にしてください。
ホワイトニングは個人差があるのでこれで変色を改善できなければ次に説明するラミネートべニア修復で治療します。
ラミネートべニア修復
ラミネートべニアは歯のエナメル質だけを削合して被せ物をつくり、接着する治療法です。
まずは歯の表面のエナメル質を削合します。
型どりをしてセラミックでつくったラミネートべニアを歯に接着します。
歯の削合量を最低限にして審美障害を改善できます。
ホワイトニングもラミネートべニアも基本的には歯が成熟した18歳以上になってから行った方がよいでしょう。
テトラサイクリン歯の予防
昔と違い、今はテトラサイクリン系抗生物質が歯に着色することがわかっているので歯の形成期である0~6歳ごろにテトラサイクリンを服用することは少なくなっています。
しかし、マイコプラズマ肺炎などの治療で服用することは今でもあります。
テトラサイクリンが必要な場合もありますので薬が出る場合は担当医とよく相談しましょう。
まとめ
歯の変色による審美障害を主訴に来院する患者さんの多くはテトラサイクリン歯です。
歯の変色はかなりの心理的負担になります。
いじめ、コミュニケーション、対人関係に深く影響します。
気になることがあればかかりつけの歯科医院で相談してみましょう。
今日はこれでおしまいです。
おつかれさまでした!
コメント