「うちの子は出っ歯が悩みで・・・」
「歯が重なって生えてきている」
「受け口になっている」
「前歯がかみ合っていない」など
子供のお口や歯並びには色々悩みがありますよね。
子供の歯並びっていうとやっぱり矯正治療?
確かに矯正治療をすることでお口の機能、審美を改善することができます。
しかし、子供の歯並びは遺伝的要因が大きいことは間違いないですが、成長の過程でお口が誤った機能のまま発育してしまうことでも歯並びに悪影響があります。
つまり、日々の生活をするうえでお口が正しい機能を使いながら成長することが歯並びにはとても重要ということです。
今日は歯並びに悪影響を与えるお口の誤った機能である口腔機能発達不全症について説明します。
口腔機能発達不全症って何?
「食べる機能」、「話す機能」、その他の機能が十分に発達していないか、正常に機能獲得ができておらず、明らかな摂食機能障害の原因疾患がなく、口腔機能の定型発達において個人因子あるいは環境因子に専門的関与が必要な状態。
引用:日本歯科医学会
この状態を口腔機能発達不全症といいます。
簡単に言えば、
病気などが原因ではなく、食べる、話すなどの機能がうまくできない状態
ということです。
このようにお口の機能の発達がうまくいかないと、成長にも悪影響を及ぼし、結果、歯並びが悪くなることにつながります。
口腔機能発達不全症のチェックシート
「食べる機能」のチェックリスト
歯の生えてくる時期についてはこの記事を参考にしてください。
「話す機能」のチェックリスト
「その他の機能」のチェックリスト
15歳以下で上記のチェック項目に3つ以上当てはまる子供は口腔機能発達不全症の可能性が高くなります。
どうしてお口の機能が発達しないと歯並びが悪くなるの?
歯並びは上図のように唇の力といった外からの力と舌の力といった中からの力のバランスが良いところに並びます。
食べる、話すといったお口の機能が発達しないということは、お口周りの筋肉や舌、唇の力が弱くなるということです。
唇の力>舌の力の場合は唇の力によって歯は内側に倒れます。
唇の力<舌の力の場合は歯は舌の力によって歯は唇側に倒れます。
また、飲み込むときに正しくは舌が上顎口蓋にくっついて、食べ物を飲み込むのですが、それがうまくできず、舌を歯に押し当ててしまう子供がいます。
これを乳児嚥下といって母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんの時の飲み込み方です。
赤ちゃんの時はよいのですが、離乳食が始まって完全に卒乳した後も乳児嚥下が残っている場合はお顔の発育や歯並びに悪影響があるので注意が必要です。
飲み込むときに舌を上顎口蓋に押し当てることで刺激が加わり上顎が発育します。
乳児嚥下では上顎に刺激が加わらず、うまく発育できません。
詳しくはこちらの記事でも紹介しているので参考にしてください。
口腔機能発達不全症の治療は保険適応されている!
口腔機能発達不全症の検査、治療は保険適応です。
「食べる機能」「話す機能」「その他の機能」について発達の評価を行い、その子供に適した指導、トレーニングを行っていきます。
これは矯正治療とは違いますので何か装置を使って歯を動かしたり、顎の位置を変えたりするものではありません。
その子供が正常に発育しているかを評価して、誤った発育をしているならばそれを改善していくというものです。
実際にはどのようなことをするの?
- 唇の力、舌の力は正常に発育しているかの検査
- 食事の食べ方の指導
- 虫歯や歯の生え変わりに異常がないかチェック
- お口まわりの筋肉のトレーニング
- 舌の正しい位置の確認
- 飲み込みのトレーニング
- 鼻呼吸の獲得
- 写真を撮ってお顔の成長の変化を確認
- 全身疾患がある場合は専門医療機関に紹介 など
個人差であったり、年齢によって子供にあった指導内容を決めていきます。
これを6ヶ月行います。
正常に発育していくか経過を見ながら、必要があれば6ヶ月後に指導、管理を再開します。
まとめ
子供は日々成長しています。
そして、正しく発育するためには食べる、話すなどの正しい機能の獲得が必要不可欠です。
時期を逃してしまうとうまく成長することができなくなってしまうかもしれません。
虫歯、歯周病だけでなく歯並び、お口の発育も予防する時代です。
赤ちゃんのときからかかりつけの歯科医院で虫歯、歯並び、食べるなどの機能を管理してもらい、正しい成長ができるようにしていきましょう。
今日はこれでおしまいです。
おつかれさまでした!
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