【歯医者が教える!】子供を成長させる『食育』について<乳児期~幼児期の食育②>

小児歯科

前回は離乳食の始めるタイミング、卒乳のタイミング、なぜその時期がよいのかを説明しました。

今回は実際にお口を育てる離乳食の与え方を説明していきます。

お口の発育には

  • スプーンでの与え方
  • 姿勢
  • 手づかみ食べ
  • よく噛む
  • 口を閉じて食べる

などが関係してきます。

今回は離乳食の与え方や姿勢、食材の硬さや大きさについて説明していきます。

具体的なメニューなどは離乳食教室や本を参考にしてください。

そのメニューから子供にあわせてアレンジをするといいと思います。

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【5ヶ月~】離乳食初期の与え方のポイント

はじめは10倍がゆをスプーンであげるところからスタートすると思います。

その時に気をつけるポイントは以下の3つです。

  • スプーンの向き
  • あげるタイミング
  • 口を閉じる(鼻で呼吸する)

1つずつ説明していきます。

スプーンは正面からまっすぐあげる

スプーンは正面からまっすぐあげてください。

赤ちゃんの下唇にスプーンをおいて、上唇でくわえてくるのを待ちます。

赤ちゃんが自分の上唇と下唇で食べることが重要です。

これによって口唇の力が鍛えられます。

正面からでなく横や斜めからだと、口唇が曲がって非対称になってしまいます。

横や斜めからの食べ癖がつくと片噛みになって歯並びやお口だけでなく顔や体のバランスまで崩れることもあります。

離乳食の時期に正しい食べ方をして唇の使い方を学びましょう。これが将来のよい歯並びに関わってきます。

食べ終わってから次をあげる

次をあげるタイミングも重要です。

赤ちゃんのお口に食べ物がなくなってから次をあげてください。

急いで食べさせると早食べや丸飲みが癖になり、正しい嚥下や咀嚼が身につきません。

よく噛むことで顎に刺激が加わり、成長するのでこの時期からよく噛む癖をつけましょう。

口を閉じて食べる(呼吸は鼻でする)

口をあけてくちゃくちゃと音を出して食べる人を見たことがないでしょうか?

あの原因は

  • 鼻がつまっていて口で呼吸している
  • 口唇の力が弱い
  • 舌の力が弱い

などが考えられます。

くちゃくちゃ食べが習慣化すると癖になってなかなか修正することが難しくなります。

人は運動時など緊急時を除いて鼻で呼吸するのがよい呼吸法です。

鼻呼吸を身につけると口呼吸と比べて

風邪を引きにくくなる

虫歯、歯周病になりにくくなる

歯並びがよくなる

集中力が増す

膠原病などの全身疾患になりにくくなる

など色々なメリットがあります。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

口呼吸が習慣化して癖になる前にアレルギーや鼻疾患がある場合は耳鼻咽喉科で相談し、先ほど説明したスプーンのあげ方で口唇を鍛え、口を閉じて食べるように指導するようにしましょう。

鼻が通っていれば、口を閉じて食べるだけでも口唇を鍛えたり、鼻呼吸の練習になります。

【9ヶ月~】手づかみ食べをさせよう!

個人差はありますが9ヶ月ごろになるとと赤ちゃんが『手づかみ食べ』に興味を示すようになります。

この時期の食事は手づかみ食べをおすすめしています。

  • 前歯でものを噛み切り、奥歯で食べることを学べる
  • 一口の大きさ量を学ぶことができる
  • 食べ物に直接触れることで温度や固さを感じて、食べ物と触れあうことができる

などが手づかみ食べのメリットです。

赤ちゃんは手でつかみ、口に入れることで食べ物だけでなく色々なものを認識していきます。

手でつかんで食べることで本当の意味で食べ物と触れあい、興味を持ち、食べることが楽しくなります。

手づかみ食べがいつまでかは子供のスプーンや箸への興味の示し方や幼稚園、保育園などの家庭環境によりますが、スプーンや箸の練習をしながら2~3歳くらいまでは手づかみ食べをさせても大丈夫です。

この時以下のことに注意しましょう。

  • 汚してしまっても怒らない
  • 歯の生え方で食べ物を変える
  • 姿勢よく食べる

汚してしまっても怒らない

子育ては本当に大変です。

初めてのことだらけでやることはよくわからないし、赤ちゃんには何かを言ってもなかなか伝わりません。

その中で手づかみ食べをしていて床や机を汚してしまい、怒りたくなる時もあると思います。

しかし、怒られてしまって子供が萎縮してしまうとせっかくの手づかみ食べのチャンスが消えてしまいます。

子供用チェアの下に汚してもすぐに洗えるシートや拭くだけできれいになるマットをひいて、汚すことを前提に食事ができるようにしましょう。

歯の生え方で食べ物を変える

また後で説明しますが、乳歯の生え方で食べ物の大きさ、固さを変えましょう。

歯の生える時期は個人差がありますが、下の前歯が8ヶ月くらいで生えてきて、1歳くらいで上下の前歯が4本ずつ生えそろいます。

奥歯が生えそろうのは平均2歳6ヶ月ごろです。

乳歯の生え変わりについてはこちら。

奥歯が生えてくると色々なものが食べれるようになりますが、前歯しか生えていないと食べ物を歯茎でつぶさないといけないのであまり硬いものは食べられません。

食べにくいものをあげてしまうと、食べることが嫌いになってしまったり、丸飲みの癖がついてしまうので気をつけてください。

年齢で離乳食を決めるのではなく、子供の歯の生え方で離乳食の内容を決めるようにしましょう。

姿勢よく食べる

姿勢はお口の成長に大きく関係してきます。

食事の時に足がついていることが重要です。

足がついていないと、食事の時に姿勢が悪くなったり、うまく噛んだり、呼吸ができずにお口の発育に問題が生じます。

足の部分のサイズが変更できるベビーチェアをうまく活用して姿勢よく食事ができるようにしましょう。

おすすめのベビーチェアは以下の記事で紹介しているので参考にしてください。

【10ヶ月~】コップ飲みの練習をしよう!

1つ前の記事で乳児と大人の嚥下は違うという説明をしました。

乳児嚥下から成人嚥下には少しづつ移行して2歳くらいまでには完全に成人嚥下になります。

しかし、お水を飲むときにずっとストローで飲んでいるとお口の力が鍛えられず、幼児嚥下が残ってしまうことがあります。

10ヶ月くらいになったらコップ飲みの練習をしていきましょう。

両手で持てるコップで少量の水から始めてみてください。

しっかりとした嚥下を身につけることで舌の力が上顎に伝わり、お口が成長します。

きれいな歯並びはU字型になります。

間違った嚥下だと顎が成長することができずにV字型になってしまいます。

コップを使うことで正しい嚥下の練習ができますのでストローだけでなくコップで飲む練習をしましょう。

歯の生え方による離乳食の考え方

先ほども少し説明しましたが、年齢で離乳食を決めるのではなく、子供の歯の生え方で離乳食の内容を決めるようにしてください

歯の生える時期には個人差があります。

前歯しかないのか、奥歯が生えているのかで食材の硬さや大きさが変わってきます。

基本的には

その時の子供の歯の生え方で噛んでつぶせる硬さ、大きさ

で考えます。

食事の様子を観察して食べにくそうにしていないか、丸飲みしていないか、よく噛んでいるかを確認しましょう。

柔らかすぎても固すぎてもいけません。

具体的な食材などは以下のサイトがわかりやすいので参考にしてください。

初めての離乳食!歯の生える順番から見た各段階ごとへのステップアップ、幼児食への道のり | 栄養士のお仕事Magazine
保育園で働くのが初めてという栄養士さん。 低月齢児から年長児まで幅広い年齢の子ども達に給食を提供しますが、とく

【1歳~】前歯が4本生えそろう

前歯が上下で4本生えそろうと前歯で噛み切ることができるようになります。

この時期の子供は

  • 前歯で噛み切る
  • 舌を口蓋に押しつけてつぶす
  • 歯茎で押しつぶす

これらで食事をします。

そのため、食べ物の硬さは舌や歯茎でつぶせる硬さにしましょう。

手づかみ食べをすることで前歯で噛み切り、食べ物を奥に運んで噛んで食べるということを練習できます。

食べやすいからと小さく切ってスプーンであげてしまうと前歯で噛み切るという練習ができません。

ニンジンなどをスティック状にして手で持てるようにして前歯で噛み切れるようにしてください。

大きく切りすぎて1口で食べるとのどに詰まらせる可能性があるので食べているときは目を離さないようにしましょう。

【1歳6ヶ月~】奥歯(第一乳臼歯)が生える

奥歯が生えることで歯茎ではつぶせなかったものも食べることができるようになります。

歯茎で押しつぶしていたときは上下の動きだけだったのが左右の動きができるようになり効率よく食事がとれるようになります。

この時よく噛む癖をつけるようにしましょう。

やわらかいものばかりや急いで食べ過ぎると食べ物を丸飲みする癖がついてしまいます。

これは成長した後で修正することは難しいためこの時期に身につけるようにしましょう。

【2歳6ヶ月~】乳歯がすべて生えそろう

乳歯がすべて生えそろうと大人と同じような食べ物を食べることができます。

大人と同じといっても、味付けは薄目で、噛み切りにくい肉などは線維を断ち切るように切れ目を入れるなどして食べやすいように工夫しましょう。

たくさんの食材の味や食感、硬さを経験させてあげてください。

きっと食べることが大好きになり、味覚が育ちます。

離乳食初期のころから注意していた、

  • 足をつけて姿勢よく食べる
  • 口を閉じて食べる
  • 鼻呼吸を意識する
  • よく噛む(30回くらい)
  • 前歯で噛み切る

これらのことは継続していくようにしましょう。

正しい食べ方を続けることでよいお口に成長します。

まとめ

離乳食のあげ方、食材の大きさ、硬さなどを説明しました。

子供のときの食事はお口の筋トレです。

正しい方法で続けることでよいお口に成長します。

正しい咀嚼、嚥下、姿勢などは子供の時に身につけておかないといけません。

大人になってからだと修正しにくいですし、成長期を過ぎると顎の成長も止まります。

よい歯並びで正しい食べ方をしていると、歯の寿命がのびます。

自分の歯が残っているとずっとおいしい食事から栄養をとれ、楽しみも増えるため健康寿命の増加にもなるのです。

将来のことを考え、お口の成長を促す食事を心がけましょう。

今日はこれでおしまいです。

おつかれさまでした!

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